自然生育型緑化工法 土壌菌工法
自然のサイクルの再構築により、永久的な緑化を行う、メンテナンスフリーの自然生育型緑化工法です。
土壌菌工法とは
土壌菌工法概念図《出典元:【土壌微生物による永久緑化工法/全国土壌菌永久緑化協会 】》
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「土壌菌工法」とは、自然土壌と同質の構成からなる 土壌母材(ふるい土)・土壌微生物群(「有効土壌菌」)・有機物・種子を混練した吹付材料により植物生育基盤を造成することで、切土工により失われた自然の表土を再び取り戻し、自然のサイクル(窒素・炭素の循環、食物連鎖など 生物界での物質循環)の再構築により、永久的な緑化を行う自然育成型工法です。
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有効土壌菌とは
「有効土壌菌」は、森林・山野・畑地に生息する天然微生物群を特殊な方法で培養した微生物資材です。
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土壌菌が必要な背景と理由
今日までの緑化工は、法面にどんな種類の植物でもよいので、とりあえず発芽させ一時的に緑にすれば緑化工法としてまかり通ってきたものです。急速な浸食防止効果が期待できる方法として、 発芽・生育の早い外来草種を中心とした簡易工法が普及しました。
しかし、積雪地・乾燥地・岩盤・強酸性などの特殊地域では、発芽しても生育できなかったり、1~2年で衰退するなどの問題が発生し、すべてが成功した訳ではありません。 植物が長い間生育していくためには、栄養分が必要となります。法面を急速に緑化するに当たり、施工当初に肥料を混入しますが、その後は全くと言って良いほど追肥等のメンテナンスは行われていないのが現状です。
山野には誰も追肥する人はおらず、裸地には植物が生息していないにもかかわらず、山野には植物が緑の大地を造っています。
私たちの周辺の自然は「なぜ緑を保っていられるのか」という疑問から、
人間に代わってメンテナンスを行う「土壌微生物」の存在に注目したわけです。
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土壌微生物の利用で期待できる効果
- 痩悪地緑化。
- 岩盤緑化。
- 悪質土緑化。
- 急傾斜地緑化。
- モルタル・コンクリート緑化。
- 施工費のコストダウン。
吹付と同時に周辺の山林と同じ自然のサイクルが形成されるので、追肥等のメンテナンスが不要です。
周辺植物(郷土在来種)を呼び込むのも早く、郷土在来種は生育も永続的なことから永久緑化が期待できます。
土壌微生物の働きにより岩盤表面を土壌化※1させ、今まで岩盤だった表面層に根が入り込み、それが小規模なアースアンカーの役目を果たします。
(火成岩、深成岩などの硬岩は土壌化に時間を要するが、堆積岩は土壌化の進行が早い。)
※1・・・『...土壌菌自体が単独で無機物を分解して肥料養分の多い土壌を生成することはほとんどないので岩石を土壌化することは少ない。ただ、土壌菌を含む有機物が、分解過程で生ずる 有機酸によって岩石の風化作用を進行させることは知られているものの、その速度は非常に遅いものである。したがって、岩石の土壌化は光、空気、水、風などの作用と有機物の分解能力が相乗された場合には、 その速度はやや速くなるものと考えられるが10年以上を経過した植生(厚層)基材吹付工を施工したのり面などを見ても、岩石の風化を促進させたような形跡はみとめられていないことからもその速度は極めて遅い といえる。』
《出典元:【のり面保護工に関する質疑応答集 平成12年5月改訂/社団法人 全国特定法面保護協会 技術委員会 】》
岩盤別の土壌化グラフ《出典元:【土壌微生物による永久緑化工法/全国土壌菌永久緑化協会 】》
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土壌菌工法では、pH=2.0~9.5(H2O2)まで緑化を可能にしている。このような土壌では好酸性菌や好アルカリ性菌がいち早く活動を示し、その後片利共生により、糸状菌、放線菌が働き、 土壌を中性に近づけます。
※土壌pHの改善も岩盤の鉱物分解同様、岩質によって緩和作用の速度に差があり、岩質によっては長い年月がかかる場合があります。
岩盤別の土壌pH緩和グラフ《出典元:【土壌微生物による永久緑化工法/全国土壌菌永久緑化協会 】》
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緑化工の概念には、植生のできる法面勾配は N=1:0.5 とされてきました。しかし、近年 では安定法面勾配の思想も変わり、N=1:0.8 とされています。
これは法面の勾配が急になるにつれ、生命力を維持する保水力に問題を生じるからです。しかし土壌菌工法 では、土壌微生物と土壌母体(土)を使用することで肥沃土壌を形成し、
N=1:0.3 の シラス、花崗岩、凝灰岩等の急傾斜法面を克服しています。
土壌微生物の働きにより、限られた土壌厚の中で自然のサイクル(食物連鎖)を形成するため、地山がモルタル、コンクリートでも基盤母体だけで植物が生育できる自給自足の環境が造れます。
自然のサイクル「食物連鎖」を形成でき、施工当初の吹付厚が薄くても年月が経つにつれて土壌化が進行し、生育基盤が厚くなるので吹付厚を薄く施工できる分コストダウンにつながります。
現場の条件によっても異なりますが、植生基材吹付工 t=5cm に対してt=3cm、t=3cmに対してはt=2cmで対応しています。
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土壌菌工法の施工フロー
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土壌菌工法の主要材料
ふるい土
岩石が風化して出来た”土壌母材(土)”。
土壌ユーキ
”動植物の生物遺体”
微量要素を含有。
有効土壌菌
天然土壌微生物群から抽出培養した138種類の”有効土壌微生物”。
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土壌化のメカニズム
土壌化のメカニズム《出典元:【土壌微生物による永久緑化工法/全国土壌菌永久緑化協会 】》
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土壌菌工法では、生きている土壌を造るため、「土壌化」という現象が見られます。
「土壌化」には2通りの作用があり、
1.腐食分解・・・毎年枯れ落ちて法面の堆積物(有機物)となる落ち葉などの腐食分解による土壌化です。
土に供給される有機物としてもっとも多いのは植物遺体です。法面においては、 表面の堆積物となる植物の葉や茎ですが、土に落下した有機物は分解されながら時間とともに下層に移動し、
土壌の層位を形成します。
土に入ってきた有機物の分解には、多くの微生物が関与していますが、中でも糸状菌 は植物遺体への浸入力が強い。これは菌体外に分泌する加水分解酵素の働きと植物遺体を物理的に構造破壊し、
侵入できることによるものです。糸状菌は、植物の骨格を形成しているリグニンやセルロースを分解できるものが多い。
2.鉱物分解・・・土壌微生物の働きで岩盤鉱物を粘土鉱物に分解できます。(土壌化の速度は極めて遅い。)
岩盤の鉱物分解は、土壌微生物が腐食分解の過程で有機物から生産される有機酸 によって行われます。岩石は鉱物(雲母・石英・長石)の塊であり、細粒化することで礫→砂→粘土と変化します。
有機酸はこれら鉱物同士の構成組織を破壊し、細粒化することで「土 壌化」を図ります。
例えるならば、「煎餅」という岩盤を、有機酸という「ハンマー」で土壌微生物が叩き、「煎餅」をコナゴナにした状態です。
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メンテナンスフリーな理由
有機物の分解過程としては、まず水溶性の糖・アミノ酸を利用する糸状菌が繁殖し、次いてタンパク質・デンプンが糸状菌・放線菌(土壌酵素)により分解され、その後ヘミセルロース・セルロースが分解されます。
植物の骨格を形成している高分子化合物のグリニン(木質)は微生物分解に対する抵抗性が高いため最後まで残り、難分解性の土壌固有の有機物である暗色無定形高分子化合物の腐食構成物質となります。
土壌中の腐食は粘土と結合し複合体を形成するため分解は極めて緩慢となり、土中に体積していきます。
しかし無限に腐食が増加する事は無く一定期間後には蓄積量と微生物による分解量が等しくなり平衡状態に達します。
この効果により有機物が安定的に供給されるため、土壌菌工法はメンテナンスフリーなのです。
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土壌菌強酸性対策工法
土壌菌工法の特徴として、《 岩質法面の緑化または強アルカリ・強酸性地山に対して有効な緑化工法である 》というものがありますが、従来の土壌菌工法をより強酸性土壌に特化させた新しい工法として『土壌菌強酸性対策工法』をラインナップに加えました。
『土壌菌強酸性対策工法』の詳細は、特設ページにてご確認ください。
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開発の背景および経緯
降水量の多い日本の土壌は塩基類の流亡により酸性化しやすく、酸性もしくは弱酸性土壌が多くを占めます。その中でも、ポドゾルや火山性・海成の酸性硫酸塩土壌・ボタ山などにおいては、緑化植物の生育が困難なほど強い酸性(PH3.0以下)を示す場面がみられます。
このような強酸性土壌においては、植物根の伸長阻害、細胞膜の破損、リン酸欠乏などにより、必要とする栄養素の吸収を大きく制限されてしまいます。
『土壌菌強酸性対策工法』は、強酸性土壌による悪影響を軽減させるため、ソイルセメント吹付工により遮蔽層を造成し、その上面に微生物資材(有効土壌菌)を配合した生育基盤層の造成を行います。
土壌菌工法に関するFAQ
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